【K部長(左)とMチーフプランナー】
K部長: 浮気調査以外ということだけど、配偶者以外の親族が依頼する浮気調査というのは入れておく必要がありますよ。
私: はい。
K部長: 親が浮気調査の依頼者となる時、調査対象は自分の子の場合と子の配偶者である場合の2パターンがある。
前者は嫁や婿に相談されて自分の子を調べるパターンで、責任感の強い親が行うものですね。
若い夫婦で夫は教育産業勤務。
帰宅しない、言動がおかしいといったことがあり、20代の奥さんが自分の父親同伴で依頼に。
調査の結果、女性の部屋に入り浸っていることが判明し、離婚。
K部長: 一方、子供に内緒で親が婿や嫁を調査するケースもありますね。
例えば、相手の浮気のせいで自分の子が精神的に病んでいる。
しかし「自分が我慢すればいいんだ」と言って何も手を打とうとしない。
それを見るに見かねて親が乗り出して調査を依頼する、などです。
私: 事実がはっきりすれば、お子さんも気持ちが変わって行動を起こす気になるかもしれない。
親子で共同戦線も張れる。
あいまいなまま精神が病んでいくのは一番よくないですね。
K部長: 音信不通の兄弟を探すとか、兄弟の何かを調べるというのは相続がらみが多いですね。
若い兄弟なら本心で「心配」なこともあるが、年配で長年連絡のない兄弟を探すのはたいてい遺産相続が動機。
遺産分割には相続人全員の署名と捺印が必要ですから。
私: 遺産が動機でも、ありふれたことであって、恥ずかしがる必要はないんですね?
K部長: もちろん。我々は日々接していることであり、依頼者のために全力を尽くすのが我々の責務です。
要望、心配事、目的などはオブラートに包まず、ダイレクトに伝えていただいた方が仕事がやりやすいですね。
私: 貴社は「特殊調査部」という失踪人捜索専門の部隊がいますね?
普通の家出人を探す「調査部特捜課」とは別に、てがかりがないまま長い時間が経過した失踪人を探す部隊が。
K部長: ええ。そこは浮気調査しかできない零細探偵社と違う強みです。
「行方知れずの相続人探し」はぜひ我々に任せていただきたいですね。
25年前から連絡のつかない兄(54歳)を妹夫婦が、相続手続きの必要から捜索依頼。
兄は、生活保護を受けていたことがあり、ホームレスの炊き出しで見かけたという噂もあった。
K部長: これは女性がらみから遺産の問題につながるパターンの話が結構多いですね。
たとえば、離婚や死別で独り身になった老父に女性ができたとする。
結婚してお父さんが亡くなった場合、当然その女性に相続権が発生して、子供の取り分は減ります。
子供の側からすれば、これは深刻な問題ですよ。
私: その一方で、お父さんにとっては人生最後の恋かもしれない。
それを邪魔したら「父の幸せより自分の相続額が大切な冷たい子」と恨まれかねません。
K部長: うん。だから難しいとこなんだけど、少なくとも財産目当ての結婚は止めないといけない。
そして財産目当てだと断定するには証拠が必要なんです。
まさにそんな事例もありましたよ。
20代後半の兄弟3人が、一人暮らしの父(80代)の調査を依頼。
母が死んでから酒をよく飲むようになり、交際相手ができたようだった。
調べてみると60代の通い妻がいて、金を無心されており、父親は籍を入れると言い出した。
息子たちが父親とよく話したところ、父親も不審に思いだして、調査に協力した。
(これは父親に柔軟性があった例だが、女を信じて子供を憎み、干渉を拒絶する場合も多い。)
父親が通い妻と会う日に女に行動調査をかけた。
普通に歩いていたのが父親に会う直前に杖をつきはじめ、会って金をもらった後、なんと杖を捨ててしまうのが確認された。
続いて別の高齢男性と会うのも確認された。
父親はその女とはバーで知り合い、ママに紹介されたのだという。
資産のある高齢男性の後妻になって資産を奪う生業を後妻業というが、この女性はその種の人だと思われる。
調査の結果、父親は目が覚め、財産も奪われずに済んだ。
兄弟が老父の調査を依頼。
女ができてその女の言う事ばかり聞く。老父70代、女40代。
資産家ではないが、持ち家はある。
行動調査をかけた。ホテルを出た後、尾行対象を女に切り替えると男と住んでいることが判明した。
その男が司令塔になっている様子。
依頼者に以上のことを報告したが、その後どうなったかは不明。
社員の素行調査で縁ができた会社。
現社長が父親の会長の調査を依頼してきた。
会長は認知症の兆候があり、飲みに行くと何にでもサインをしている様子で、その請求が来る。
この方法で女に金を渡しており、やめさせても密会している。しかし、自力で何とかやめさせた。
それから数カ月後、今度は別の女性相手に同じことが起き、ついに社長は探偵への調査依頼を決断した。
「会長は何にでもサインしてくれる人」と酒場の女たちの間で噂になり、複数の女性から狙われていたと推定される。
Mチーフプランナー: 既婚者の子供に親が浮気調査をかけるパターンはもう出ました。
それ以外に親が子供に調査をかけるとしたら、交際相手が怪しいとか、お金の無心が増えたが使途は何なのか?といった状況ですね。
私: 離れた場所で一人暮らしをする子供の暮らしぶりを知りたいだけの場合もあるみたいですね。
Mチーフプランナー: ええ。単に、ちゃんと暮らせているのか、仕事には行っているのかといった心配で調査される場合もあります。
若い男性が結婚詐欺にかかっている様子で親が調査を依頼。
肉体関係がないのにその女性と交際しているつもりになっており、相手の女が学費を必要としているといった理由で金を渡している。
調査の結果、他の男にも同様の事をしている結婚詐欺師と判明したが、告知を受けた息子の対応は驚くべきものだった。
「わかりました。僕が彼女を目覚めさせます。他の男にこれ以上迷惑をかけないよう、こういうことをやめさせます。」と、自腹で追加調査を依頼。
お金のつぎ込み先が女から探偵に変わった。
息子は中国の女性と結婚した後に離婚。
最近、お金の無心が増えており、年に4000万円も渡している。
いったい何に使っているのか、と調査の依頼が来た。
この調査は進行中。
長く引きこもりの子供を自立させるために別居させ、月7~8万円を生活費として渡している親。
「息子がちゃんと生活できているか調べてほしい」と依頼してきた。
行動調査をかけると、外出はコンビニに行く程度。独居しても引きこもっていることがわかった。
大卒の娘とその交際相手の調査を親が依頼。
娘(20代前半)は学生時代からネットゲームで知り合った男性(30代前半)と交際。
二人とも都内に住んでいたが、男が地方に引っ越し。
すると娘も就職内定を蹴って同じ街に行き、同棲。
父親はすでに相手の男とは話したことがある。
調査してみると男は働いておらず、夕方パチンコに行くだけ。
相手の男は何者か?生活費はどこから出ているのか?娘はどこかで働いているのか?
疑問は残るが、探偵の仕事は行動調査の結果報告までである。
私: 宗教関係の調査依頼はありますか?
K部長: 4年くらい前まで出家した家族の調査依頼が多かったが、最近はないね。どうしてしまったんだろう?
Mチーフプランナー: 本当ですね。
私: 詐欺被害はどうですか?
K部長: 各種の詐欺に遭い、団体の責任者を探してほしい。
それが無理なら、せめて当時の担当者を探してほしいという相談はあります。
ただ、現実にはなかなか受注は難しい。
Mチーフプランナー: 被害額が50万円やそこらでは探偵に頼む気になれない。
探偵に頼んでくるとしたら大被害に遭った人。
私: ところが、大被害に遭った人は身ぐるみはがされて調査費用すら手元に残っていない、と?
K部長: そのとおり。
私: でも、調査費用がある場合はそういう調査も引き受けてもらえるんですよね?
K部長: もちろん。当社はテレビの詐欺解明番組でもガチで詐欺師と対決しています。任せてください!
私: 本日はどうもありがとうございました!