【高野上級アドバイザー】
問題の大きい相手と結婚してしまうと様々な被害がでます。
喧嘩やDVに満ちた不幸な結婚生活とその挙句の離婚。
シングル親としての苦労と片親で育つ子供の苦労。
多額の結婚費用もムダになるし、何よりも貴重な人生の一時期を失います。
子供の結婚相手に不審な点があった時、結婚に進んでしまう前に調べる方法はないのか?
婚前調査について、大手興信所である原一探偵事務所の上級アドバイザー高野さんに話を聞いてきました。
私: まず高野さんの仕事を教えてください。ご自身は探偵ではないのですね?
高野: はい。私は依頼者のお話を聞いて一番目的に合った調査方法を設計する仕事をしています。
私: 婚前調査(結婚調査ともいう)は昭和までは盛んでしたが、今はどうなっていますか?
高野: 以前の結婚調査は家柄とか親兄弟の調査に重きが置かれていました。
今はむしろ、結婚相手当人の素行調査に需要が高まっています。
私: なぜなんでしょう?
高野: 以前は結婚は家と家の問題でしたが、それが当人同士の問題と捉えられるようになった。
差別に対する社会の反感も高まり、第三者の戸籍情報入手も違法になった。
これが、家柄を調べる古い婚前調査が下火になった理由です。
その一方で、ネットの発達などで結婚相手当人について十分知らないまま結婚に進むことが増えた。
これが結婚相手当人の素行調査の需要が増えた理由です。
私: 結婚相手当人の素行調査はどんな場合に役立つんですか?
高野: ずばり当人に不審な点がある場合です。
例えば、仕事。
こういうのは行動調査(尾行と隠し撮り)をかければすぐわかります。
「勤務先は嘘で、昼過ぎに起き出してパチンコに行くのが確認された」などというのはよくあることです。
私: 最近、「娘の相手は渋谷のIT企業勤務らしいが実態がわからないので調べてほしい」という依頼がとても多いと他の探偵さんから聞きました。
高野: ああ、確かに(笑)。ITは現代の花形産業でイメージがいいのでしょう。
しかし、そんなにIT企業の社員ばかりいるのもおかしい。
本当かどうかは素行調査ですぐわかりますよ。
私: 相手の異性交遊状況もわかりますか?
高野: ええ。次のような疑いがある時、素行調査はとても有効です。
例えば既に男女関係なのに、一人住まいのはずの自分の部屋に呼ばないというのは怪しいです。
帰宅を尾行すると既婚者どころか、子供までいることが判明することも多いですよ。
また、結婚詐欺師なら必ず同時進行で複数の異性と交遊しています。
金を吸い上げたら捨てるので、次々に新しいカモを仕込んでおく必要があるからです。
デートの後の行動を追尾すると、直後に別の異性と会っていたり、誰かと住んでいたりします。
高確率で調査に引っかかってきますね。
私: ギャンブル癖がある場合もわかりますか?
高野: はい。そういう人は何日もギャンブルを我慢できない。
数日の調査のうちに必ずパチンコ屋や競馬場に行ってどっぷり入り浸ることになります。
ギャンブルも趣味の範囲ならいいが、しょっちゅう入り浸っているような人は結婚相手として危険なのは明らかでしょう。
私: 離婚歴が多すぎる相手も心配ですね。
過去の相手と何があったのか?DVなんかも疑われ、親としては怖いでしょう?
高野: そういう場合は聞き込み調査も併用することが考えられます。
私: 聞き込みですか?
しかし「○○さんについて知っていることを教えてください。」みたいなことをやったら、調査がバレて当人に伝わる危険が大きいんじゃないですか?
高野: 当社では、そんな稚拙な聞き込み方はしません。
そもそも、警察手帳も持ってない人間がそんなダイレクトな聞き方をして答えてもらえる確率はとても低いでしょう。
私: そうですね。「知らない」と答えるか、調査対象と親しければ「君は何者だ?何の目的で何を調べてる?」と詰め寄るかもしれません。
高野: 婚前調査に当たって、われわれは調査発覚をとても警戒しています。
発覚すれば破談になる可能性があるからです。
だから、聞き込み調査の手法は相手に聞き込みとわからせない特殊な技法を用います。
この技法はできる探偵が限られているので、「特殊調査部」という聞き込み調査専門部隊を作っているほどです。
私: 「相手が聞き込みとわからない聞き込み」とはどんなものですか?
高野: それは後で特殊調査部の探偵にヒアリングしてください。
この聞き込みは親兄弟の噂を集めるのにも使われます。
先ほど、家柄の調査は下火になっているといいましたが、「相手の親が挨拶もできない非常識な人物かどうか」は事前に知りたいと思いませんか?
私: それはもう、「結婚は無理!」ぐらいの重要材料でしょう?
高野: それは聞き込みでつかめます。
例えば、上記のようなことは聞き込み調査により高確率でつかめます。
これらは結婚の可否を判断する上でとても重要でしょう?
法を犯して戸籍情報を入手しても大して役に立つ情報は得られません。
われわれは合法的な調査でもっと重要で役に立つ情報を入手するのです。
高野: 今説明したように、行動調査(尾行&撮影)と聞き込み調査という2技法を使って、依頼者のニーズに最適の調査を設計するのが私の仕事です。
たとえば、「実家のことは後でいい。結婚以前にまず交際を許していいのかどうかというレベル。不審な相手なので調べたい。」という場合、相手当人に行動調査をかけます。
現在の状況だけでなく過去にも気になる点があるなら、聞き込み調査の併用を提案します。
逆に「相手当人はとてもいい子で気に入っている」が、「実家の話を聞いていて引っかかる点があった」とか「自分の親の事を話そうとしない」と言う場合。
この場合は、実家に関する聞き込み調査を提案します。
相手当人も実家も総合的に知りたい場合は、当人への行動調査と実家の聞き込み調査を行います。
あまり受任例はないですが、必要なら実家の人の行動調査も可能です。
例えば、相手の父親が得体の知れない人物で、ふだんの行動をどうしても知りたいという場合、それができます。
私: なるほど。貴社なら本当に心配なことが調べられる婚前調査ができそうですね。
今日はどうもありがとうございました。
ここでは婚前調査の一般的な事項をまとめました。
これを読んで先のインタビュー記事を読み返すと、一層理解が深まると思います。
昭和以前は、結婚予定の相手について興信所を使って調べるのはごく普通のことでした。
インタビュー記事にもあるように、その内容は主に結婚相手の実家・親族に関する調査でした。
相手の「家柄」を調べるのですが、それは婉曲な表現です。
ありていに言えば、最大の関心事は、しばしば被差別部落出身者や朝鮮系・中国系ではないかということでした。
現在では「差別につながる調査」は禁止されており、上記のようなことを調べるのは違法です。
そして、まだまだ差別は根絶されていないとはいえ、こういうことを気にする人も、昔に比べて激減しました。
個人情報保護法制定などもあって、平成の間に親族の調査は減少の一途を辿りました。
現在、相手の実家について調べる場合のポイントは「親戚付き合いできないような非常識な人ではないか?」ということです。
相手の親兄弟がモンスターペアレント、近所トラブル常習犯、最悪は反社の場合、結婚を避けたいのは当然です。
しかし、そういう懸念材料が特になく、相手の親がよさそうな人の場合は、調べないことの方が多くなっています。
かわりに増えているのが、結婚相手当人の素行調査依頼です。
最近では「婚前調査=当人の素行調査」といえるぐらい、比率が大きくなっています。
その要因は、インタビュー内で触れられたことを含めていくつかあります。
代表的なものを列挙してみましょう。
結婚相手当人の素行調査では、相手が既婚者とか、結婚詐欺師と判明することもあります。
結婚詐欺師は金を吸い上げると相手を捨てていくので、常に新しいカモを仕込んでおく必要があります。
そのため、複数の異性と交際を同時進行させているのが特徴で、それは素行調査で容易に捕捉できます。
下記の項目に該当すれば結婚詐欺師の疑いが濃厚なので、ぜひ調査すべきです。
結婚詐欺師には女性もいて、まじめで女性経験の乏しい中年男性が狙われます。
工場勤務や警備員のような仕事でも、まじめで遊ばない人なら少なくとも数百万円の貯金はあります。
それを瞬く間に奪っていくのです。
親御さんの立場で結婚詐欺の不安を現実に感じているなら、ぜひとも調査すべきです。
ただし、盲目になっている我が子を思いとどまらせるには、よほどしっかりした証拠が必要です。
調査技術と責任感のある探偵社を選ばねばなりません。
婚前調査というと親が子供の幸福な結婚のためにやるイメージが強いです。
しかし、逆に子供が親の再婚相手に懸念を持って行う場合もあります。
財産目的で高齢の独身資産家男性の妻の地位を狙う女性を「後妻業」といいます。
結婚相談所でカモを見つけるケースが多いです。
後妻業は子供が受取るべき遺産を全部横取りしていくので、深刻な脅威です。
後妻業も複数の交際を同時進行させていることが多い。
狙った交際相手と結婚までたどり着けるとは限らないからです。
そのため、行動調査でつかみやすい。
また聞き込みなどで前歴を調べるとダークな材料が出てくることが多いです。
婚前調査の調査手法としては行動調査(尾行と撮影)と聞き込み調査がメインになります。
しかし、必要に応じて他の調査手法も併用されます。
ただし、第三者が戸籍を調べるのは、昔は普通に行われていましたが、現在では違法です。
処罰の危険を冒して戸籍を調べても、聞き込み調査以上の成果が得られることは稀です。
例えば、本当に離婚歴があるのかどうかは戸籍を調べないとわかりません。
しかし、だいたいのことは聞き込みでつかめます。
そこからさらに戸籍を調べることで「離婚についての新事実」や「実は離婚歴はなかった」ことが判明することはまずないのです。
悪徳司法書士などと組んだ探偵に高額で戸籍調査を提案されても、斥ける勇気を持つべきです。
以上、婚前調査(結婚前調査、結婚調査ともいう)の基礎知識でした。
婚前調査は調べていることが発覚すると相手や相手の親を怒らせるリスクがあります。
最悪は破談のリスクもあります。
だから特に問題のなさそうな相手のことまで調べなくてもいいでしょう。
しかし、何か引っかかる点があり、それが重大なものである可能性があるなら調べるべきです。
適切な調査は、貴重な人生の一時期の喪失を防ぎます。
なお、相手当人の調査はいわゆる素行調査と重なる部分が多いです。
婚前調査に限らない素行調査について広く知りたい方は下記リンクを見てみてください。