ここでは法で禁じられている調査について説明します。
まともな探偵社なら頼んでも断ってくる内容です。
探偵だけでなく、依頼者も法に問われるリスクがあるので、やらせてはいけません。
第三者の戸籍情報取得は、昔は合法だったのですが、今は違法です。
しかし、探偵社が悪徳行政書士と結託して、戸籍の不正請求を行う例は後を絶ちません。
確かに戸籍を見ないと完全に裏が取れない事実はたくさんあります。
例えば、離婚歴が本当にあるのかどうかは戸籍謄本をみないとわかりません。
しかし、聞き込みをすればだいたいのことはわかります。
そして聞き込みの方が具体的な情報がわかります。
離婚は円満だったのか、DVや借金地獄の果てだったのか、などです。
そうすると法を犯してまで戸籍情報を入手しても、合法的な調査で分かる以上の成果は、案外少ないものなのです。
そして、最近は戸籍情報の請求があった場合、本人に通知するサービスを行う自治体が増えています。
つまり、戸籍調査は違法なだけでなく、わざわざ調査を発覚させるリスクが大きくなっているのです。
銀行、クレジットカード会社、消費者金融などは個人の信用情報を共有しています。
信用情報機関はJICC、CIC、JBAの3つがあり、それぞれユーザー(会員)の種類が違います。
信用情報機関 |
主な会員 |
---|---|
(株)日本信用情報機構(JICC) | 消費者金融と信販会社 |
シーアイシー(CREDIT INFORMATION CENTER、CIC) | クレジットカード会社と信販会社 |
一般社団法人 全国銀行協会(JBA) | 銀行と銀行系カード会社 |
管理している個人情報は、どこからどれくらい借りているか、返済が遅れたことがあるか、債務整理(任意整理・個人再生・自己破産など)をしたことがあるか、などです。
かなりひどい返済遅延や債務整理の記録が、いわゆる「ブラックリストに載る」ということです。
(「ブラックリスト」というものがあるわけではなく、あるのは3種の信用情報機関に記録された個人情報です。)
3つの信用情報機関は定期的に情報交換もしているので、銀行、信販、消費者金融によらず、信用情報は全部知られていると考えるべきです。
さて、こうした信用情報を非会員が入手するのは違法です。
借金額や債務整理額がわかれば確かに便利ですが、それらを推定する合法的な調査方法はほかにあります。
行動調査をかけて15日頃や月末に複数の消費者金融に出入りしていれば、確実に多重債務者です。
自己破産と個人再生の経歴の有無は官報を調べればわかります。
職業の推定収入に見合わない買物や豪遊があれば、借金か怪しい裏収入が疑われます。
警察や検察が保管している犯罪歴の情報を入手するのは違法です。
警察内部に知り合いがいれば入手の可能性がある場合もあるかもしれませんが、手を出すのはやめておきましょう。
しかし、新聞等で名前が報道されたことがある場合、それを検索するのは合法です。
重大な犯罪はほぼ確実に報道されますから、そういうものは新聞調査でつかめるわけです。
万引き癖のような軽犯罪は、聞き込みなどでつかめることも多いです。
いろいろ合法的な調べ方があるわけですから、お上から情報を盗むような危険な行為は慎むべきです。
他人の部屋や事務所に盗聴器を仕掛けるのは違法です。
盗聴自体を禁止する法律は日本にはありませんが、盗聴器設置のために侵入することは住居侵入罪に該当します。
盗聴器を仕込むために、家電などを改造すれば器物損壊罪に該当します。
まともな探偵社であれば、盗聴器の発見・除去は請け負ってくれても、盗聴器を使っての調査はしません。
他人の車にGPSを装着して行き先を調べたりするのも違法です。
戸籍情報・信用情報・犯罪歴の入手や盗聴に代表される違法な調査は、まともな探偵社なら引き受けません。
しかしグレー~ブラックな業者には引き受けるところもあるし、中には向こうから持ち掛けてくる場合もあります。
依頼者も対象の事を知りたいあまり、つい手を出しそうになるかもしれませんが、思いとどまってください。
調査を実行した探偵のみならず、依頼者も法に問われる可能性があります。
そんなリスクがあってお金もかかるわり割に、実際に入手してみると期待したほど役立たないことが多いです。
それより行動記録や聞き込みによる生々しい情報の方がずっと有用です。